6×9

「やーよ」

「乗れって」

「いーや」

「良い年してガキみたいに駄々こねんなよ」

「青年こそ良い大人なんだから聞き分けてよ」

「俺はまだピチピチの二十一歳だもーん」

「だもーんっておまえさん……」

 

 舌を絡め合って、互いにその気になってきた。そんな時にユーリが思い立った。

 

 ────シックスナインしよう。

 

「いいから諦めろ。先に言っとくけど俺は諦めないからな?」

「……はぁ。もう。粘っても無駄じゃない」

「そういうこった」

 断った。恥ずかしいからと根気良く。が、努力は軽く水の泡。

 拒否を続ければ嫌がろうが力任せに押し倒されることなど簡単に予測がつく。

 ……本気で拒めば、しないだろうが。

「これで、いーい?」

「ん、絶景だな」

 結局羞恥心を除けば、そこまで嫌ではないのだ。

 そんな自分に恥ずかしくなって、掻き消すように溜め息。

 下履きを取り去ってユーリの下肢に顔を向け、己の下肢はユーリの目前へと。

 同時にひゅ~っと軽く鳴った口笛に、興奮で昂ぶる雄を外気で撫でられ体が跳ねた。

「っ息、吹くの、反則」

「わりぃ。つい」

 反省など微塵も感じない謝罪。続けて蕾にも意図的に息が吹き掛かり震える。

「も、っ聞いてないでしょっ!」

「はいはい、焦らして悪かったな」

「そうじゃ、っ! っひ、あ、ぁぁぁ」

 言葉を投げようと振り返る瞬間に、いきなり、睾丸を口に含まれた。

 ズルズルと吸い上げ、開放されたかと思いきや続けて舌で竿を舐め回される。

「ほら、おっさんも、な」

 言われるがままにユーリの下肢に手を伸ばす。

 断じて乗り気になったんじゃない、されるがままが嫌だったから。

「う、ぁ、すご……」

 下肢を寛げ、熱をさらけ出す。そこにはギンギンに発熱したユーリのモノ。思わず声を上げてしまった。

「そりゃあ、な。これで無反応だったらビョーキだろ」

「逆、でしょ……三十過ぎたおっさんでこんなにしてる方が、病気よ……っ」

「それならビョーキでいいか」

「もう……青年ってば」

 冗談なのか本気なのか、不意な発言に照れてしまう。天然のタラシなんじゃないかといつも思う。

「ひ、あっ、あ、ぁ」

「ん、ほら、そんなマジマジ見られたらたまんねえだろ」

 舌技に翻弄され、感じるばかり。遠回しの催促で漸く顔を寄せて。

「ん、……む」

 先をくわえ、刺激を与える。徐々に、徐々に、下へと。

「ふは、う、ぁうっ」

「そ、さすがおっさん」

「な、にが、さすがよ……んむうぅ」

 自分も感じさせてる筈なのに、感じさせられる方が圧倒的に強くて。

 羞恥心も手伝ってあっという間に限界が。

「ひぅ、も、……~っっ!」

「そんな良かったのかよ」

「今日は、偶々、よっ」

 達した後の強がりも、溢れた白濁を蕾に塗り込まれ、消える。

 勿論、ユーリに愛撫をくわえる余裕などもうなくて。

「あううっ! い、あ、っ、あア!」

「おいおい……握るだけはつれなすぎじゃねぇ?」

「だ、て……余裕、ない……っあァっ」

「可愛いこと言って逃げやがって」

「ちが、っんんぅうの、っ」

 ぐちぐちと中を掻き回されて、震え、喘ぐだけで精一杯な体。

 全くこの体勢の意味がないのは、ユーリ以上に自分の方が感じている無駄な自信。

「ったく、しゃあない、なっ」

「! っ」

 ズっと指の感覚が消え、急に視界が反転する。

 瞬きの間に、ユーリの昂ぶる雄が上から迫ってきた。

「逆のが楽だろ」

 それだけ言うと足を開かれ、再び中を指で掻き回され、白濁液で汚れた自身を吸われる。

 快感に悶えながら、しかし与えられるままにくわえ、ユーリに奉仕する。

「ふ、うっ、っんんっ」

「っは……やっぱこっちのが、いいな」

 奥まで侵入する指と舌で、達したばかりなのに……いや、達したばかりだからこそ、早くも二度目の射精感。

 それをこらえて、こらえて、喉の奥までくわえ込む。

「ふっ、ふ、ぐぅ、っ、ぅっ」

 まるで尻に抜き差しするかのようにユーリの腰が揺れ、ぐいぐいと喉を突かれた。

「ぐ、んんっ、ンウゥっ!」

 吐き気を催しそうになり、思考も追い付かない。それでも何とか舌を動かして快感を与える。

「ぐぅっ、ゥ、ぐ、うぅゥ」

 そしてついにユーリも体を震わせて。

「出るっ……!」

「ンぐぅゥっ」

 ユーリの吐精物が喉から食道に直線流れてくる。飲み込みの追い付かない分が溢れ、口の端から零れた。

 ほぼ同時に自分もユーリの口内で果て、残滓まで吸われる感覚にビクビクと腰が跳ねた。

「んぷ、ぅあ、は……」

 ユーリの雄が口から抜け、パタパタと雫が垂れ頬を汚した。

 漸く開放された筈なのに、体は物足りなさを感じてしまう。

 上から退き向き直り、ペロリと無意識に舌なめずりするユーリの姿に、鼓動が速くなった。

「……じゃ、そろそろ、な?」

 たった今達したとは思えない程に猛ったユーリ自身を見て、今日はいつまで続くのだろうと……気付けば心底期待している自分がいて。

 肩で息をしながら、そのまま、ユーリに身を委ねるのだった……────

 

 

 

 

 

2011.6.11