昂熱

 空気を押し、産毛を掠め。皮膚と皮膚が熱を感じたと同時に触れ合う、貴方と僕の額。

 ギュッと瞳を閉じ眉間に皺を寄せても、その隙間すらを埋めるように密着する、貴方の、額と熱。

 熱い、熱い、熱い。

 まるで触れた箇所──僕の額の忌まわしい印──が、溶けて、流れ落ちそうなほどに。

「アイ、ク」

「熱いな」

 熱いのは、貴方の方だ。僕じゃない。心臓が激しく脈打ち、ドクンドクンと音がする。

 熱を計るだけの行為のはずなのに、このまま融け合って貴方と一つになってしまえたらいいのになどと夢を見てしまう。

「このまま、融けて……貴方と……」

「そしたら、俺はセネリオに触れられなくなるな」

 一つが二つになるように、離れていく額の先で、貴方は少し意地悪く笑う。

「お前も、俺に触れられないぞ?」

 そう言われ握られた手も、熱い額も……

「嫌、です……」

 いつだって貴方を、貴方の熱を、一番近くで感じていたいから。

「ずっと、傍にいさせてください……」

 額と同じくらい熱い、大きく逞しい手を握り返しながら。


 僕は、この印と共に。

 最期まで、貴方の傍にいたいと強く願った────